たったひとつ。

　ここ何年か七夕はいつも曇りで、毎年空を見上げては、見えない星に思うことがある。
　あたし、いつかあいつを忘れられることができるんだろうか。ちゃんとあいつより好きになる人見付けられるんだろうか。
　いまは隣のお店のカレが好きで、うまくいったら嬉しいけど、カレのことが好きなのか、恋がしたいから好きになったのか、あいつを忘れたいから好きなのか、いまいちわからなくなる。こんなにたくさんの人の中でカレを好きになったのは、そりゃ好みのタイプだったからと、優しかったからで、誰でもよかったわけじゃないけど、このまま、もし万が一、カレとうまくいっちゃったりしたら、あいつを忘れられるんだろうか。

　どうしようもなく未練タラタラだから、今年の願い事も、あいつを忘れられますように。